~ホームページ開設のお知らせ~

二つのお願い


ホームページ開設のお知らせ(20151月6日)

二つのお願い

2014年末、九重(ここのえ)昆虫記(こんちゅうき)10巻の校正が進行し、新しい2015年はあのファーブル昆虫記に追いつき追い越す記念すべき年になります。

そこで九重自然史研究所と九重昆虫記、さらにその著者宮田彬が近況を紹介するホームページを作成しました。

 

1.今後是非企画したいこと(昆虫展とスポンサーについて)

ファーブル昆虫記10巻と並んだところで、著者として是非企画したいことがあります。それは整理が終わった滋賀県立琵琶湖博物館に収蔵されている「旧九重自然史研究所所蔵昆虫標本約350箱(35000頭)」(通称宮田コレクション)を一度に展示する大昆虫展を開催することです。私は前々からすべての箱を自分の思うように並べて眺めて見たいと考えていました。一箱ずつ眺めるのと違い、何か面白い発見があるに違いないと思います。また子供たちに見せる時にも一つ一つの種や属・科だけを見せても気づかない、何かを見つけてくれるだろうと期待しています。

先日、八尋学芸員に尋ねると琵琶湖博物館の特別展会場ならぜんぶ並べることが可能な広さだと言われたので、それを実現したいのですが同博物館にはあまり迷惑をかけたくないので、後援して下さるスポンサーを探しています。私は滋賀県彦根市出身(私立幼稚園⇒城西小学校⇒彦根西中学校⇒彦根東高校出身)で、彦根城、彦根市石ヶ埼町、武奈町、鳥居本町などで半世紀以上前採集した昆虫標本も残っています。彦根が大好きですから彦根の企業がスポンサーになってくださればと淡い期待をしています。そうなれば、私自身も彦根を訪れる機会が増えるので二重に嬉しいことです。九重昆虫記には彦根とその虫のことがしばしば出てきます。

なおスポンサーにはメリットがあるかどうかわかりませんが、膨大な昆虫の生態写真を商品や企業の宣伝などに自由に使用できること、また昆虫観察会などの支援や講演も引き受けます。他にも世界各地で買った1000点ほどのカエル・グッズを今も持っています。それらの写真も使用できます。

 

2.どなたか「九重昆虫記1~12巻」をフランス語に訳してくれませんか?

第二の願いは九重昆虫記10巻(+未刊の2巻)完成記念にフランス語訳版を出版したいと考えています。私はファーブル昆虫記全10巻を7回も読みました。私は彼から多くを学びましたから、尊敬の気持ちを込めて師匠の墓前に九重昆虫記フランス語版を捧げたいと願っています。

 しかし彼と私は違います。私の本の方が読みやすく、しかもファーブルよりもっと多くの昆虫が登場します。また「チョウやガの翅はわざと破れやすい方向に進化した」など、他の昆虫の本にはないオリジナルな学説がいくつも出てきます。ファーブルを読んで感銘をうけた知的好奇心の旺盛なフランス人なら私の本の訳もきっと大いに気に入ってくれるでしょう。

さらに昆虫は本能のまま動いている融通のきかないものだと彼は考えていたのに対して、私は原生動物から人まですべての動物は心を持っていると考えています。つまり私は昆虫にも心の萌芽を認めています。だから九重昆虫記のサブタイトルは「昆虫の心を探る」です。

私は成虫ではなく、蛾の幼虫を観察することで、同一種の幼虫が個体ごとに違った繭のつくり方をするのを観察しました。蛾の幼虫は回りの環境の違いに見事に適応します。もしかするとファーブルは柔軟性を失った大人のハチばかりを観察したのに対し、私は柔軟性を失っていない小さな蛾の幼虫の臨機応変な行動を垣間(かいま)見たのかもしれません。ちなみにハチの幼虫は親が世話するので子供は親になるまで何もできません。一方、わずか1センチメートルにも満たない蛾の幼虫の多くは緑の葉の上でだけ生活しています。そこでは生き残るために何度も自分の行動を自分自身で選ばなければならないことが起こります。賢さという点ではハチの成虫よりも小さな蛾の幼虫の方が遥かに優れています。ファーブルはそことに気づきませんでした。

私は少年時代からファーブルが好きでハチも観察しましたが、ファーブルが研究したハチを中心に研究し日本のファーブルと呼ばれた岩田久二雄博士とは違い、私はファーブルがほとんど手をつけなかった昆虫群である蛾を子供のころ主な研究対象として選びました。高齢者になった今はその選択が正しかったことを痛感しています。なお子供のころ、つまり1950年代に日本鱗翅学会に入会しました。入会順に決まる同学会の私の会員番号は100番ですから現存会員で私より若い会員番号を持つ人はもう数人しかいないでしょう。

フランス語版の翻訳者とはフランス語版の利益を折半することを考えています。可能なら昆虫好きのフランス語学者もしくは日本語が堪能なフランス人に引き受けて頂ければ幸甚です。私はもうすぐ80歳に達する高齢者ですから生きているうちにフランス語版を見たいと念願しています。