「観察」誌上に発表された半世紀前の彦根附近産昆虫目録
1)前川弥之祐(1954)彦根近郊のカメムシ、観察4 (4) 6-9.には宮田目録に加えるべき次の46種が含まれている。
1. ツチカメムシMacroscytu sjaponensis Scott, 半翅目ツチカメムシ科6-038—01
彦根城28. V. 1949
2. ヒメツチカメムシGeotomus pygmaeus Dallas, 半翅目ツチカメムシ科6-038-05
彦根城25. VIII. 1948
3. ヒメマルカメムシCoptosoma biguttulum Motschulsky, 半翅目マルカメムシ科6-038-12
彦根城10. VII. 1948
4. キボシマルカメムシCoptosoma jponicum Matsumura, 半翅目マルカメムシ科6-038-14
彦根城10. VII. 1948
5. チャイロカメムシEurygaster sinica Westwood, 半翅目カメムシ科6-038-19
伊吹山頂29. VII. 1948
6. シラホシカメムシEysarcoris ventralis Westwood, 半翅目カメムシ科6-039-07
鳥居本武奈25. VIII. 1948
7. マルシラホシカメムシEysarcoris guttiger Thunberg, 半翅目カメムシ科6-039-08
彦根城内玄宮園10. VII. 1948
8. オオトゲシラホシカメムシEysarcoris lewisi Scott, 半翅目カメムシ科6-039-09
伊吹山頂29. VII. 1948
9. ナガメEurydema rugosum Motschulsky, 半翅目カメムシ科6-039-21
彦根2. V. 1948
10. ツヤアオカメムシGlaucias subpunctatus Walker, 半翅目カメムシ科6-040-03
彦根
11. ヨツボシカメムシHomalogonia obtusa Walker, 半翅目カメムシ科6-040-12
武奈23. VIII. 1948
12. モンキツノカメムシSastragala scutellata Scott, 半翅目ツノカメムシ科6-041-06
鳥居本町鬼里23. VIII. 1948と彦根城
13. オオツノカメムシAnaxandra gigantean Matsumura, 半翅目ツノカメムシ科6-041-09
彦根城のケンポナシに多い。
14. アオモンカメムシDichobothium nubilum Dallas, 半翅目ツノカメムシ科6-041-15
彦根城24. III. 1949
15. エビイロカメムシGonopsis affinis Uhler, 半翅目エビイロカメムシ科6-041-16
鳥居本23. VIII. 1948
16. クヌギカメムシUrostylis westwoodi Scott, 半翅目クヌギカメムシ科6-041-17
彦根城と鳥居本
17. サシクヌギカメムシUrostylis annulicornis Scott, 半翅目クヌギカメムシ科6-041-18
彦根城と鳥居本
18. ノコギリカメムシMegymenum gracilicorne Dallas, 半翅目ノコギリカメムシ科6-041-22
彦根5. VII. 1948
19. オオヘリカメムシMolipteryx fuliginosa Uhler, 半翅目ヘリカメムシ科6-042-01
伊吹山29. VIII. 1948、鬼里16. V. 1948
20. ホシハラビロヘリカメムシHomoeocerus unipunctatus Thunberug, 半翅目ヘリカメムシ科6-042-01
彦根城8. V. 1948
21. オオクモヘリカメムシAnacanthocoris striicornis Scott, 半翅目ヘリカメムシ科6-042-05
彦根城10. I. 1948
22. ツマキヘリカメムシHygia opaca Uhler, 半翅目ヘリカメムシ科6-041-06
採集地は記入されていない。
23. キバラヘリカメムシPlinachtus bicoloripes Scott, 半翅目ヘリカメムシ科6-042-09
鳥居本23. X. 1948
24. ホソハリカメムシCletus trigonus Thunberg, 半翅目ヘリカメムシ科6-042-10
鳥居本17. VIII. 1948
25. クモヘリカメムシLeptocorixa corbetti China, 半翅目ヘリカメムシ科6-042-17
鳥居本17. VIII. 1948
26. ホソヘリカメムシRiptortus clavatus Thunberg, 半翅目ヘリカメムシ科6-042-19
鳥居本17. VIII. 1948
27. アカヒメヘリカメムシRhopalus (Aeschynteles) maculatusFieber, 半翅目ヘリカメムシ科6-042-20
採集地は記入されていない。
28. イトカメムシYemma exillis Horvath, 半翅目イトカメムシ科6-042-023
彦根城10. I. 1948および16. X. 1948
29. ヒメイトカメムシGampsocoris viridiventris Matsumura, 半翅目イトカメムシ科6-042-24
産地は記入されていない。
30. オオメカメムシGeocoris varius Uhler, 半翅目ナガカメムシ科6-044-01
彦根城21. V. 1948
31. ヒゲナガカメムシPachygrontha antennata antennata Uhler,半翅目ナガカメムシ科6-0440-04
採集地は記入されていない。
32. ヒョウタンナガカメムシEucosmetus albomarginatus Scott, 半翅目ナガカメムシ科6-044-08.
彦根城14. V. 1948
33. ホソナガカメムシParomius seychellesus Walker, 半翅目ナガカメムシ科6-044-07
産地は記入されていない。
34. コバネヒョウタンナガカメムシTogo hemiptera Scott, 半翅目ナガカメムシ科6-044-08
採集地は記入さていない。
35. サビナガカメムシPachybrachius rusticus Stal, 半翅目ナガカメムシ科6-044-10
鳥居本24. III. 1947
36. チャイロナガカメムシLethaeus lewisi Distant, 半翅目ナガカメムシ科
彦根城16. X. 1948
37. オオホシカメムシPhysopelta gutta Burmeister, 半翅目オオホシカメムシ科6-045-01
武奈17. VIII. 1948
38. ヒメホシカメムシPhysopelta cincticollis Stal, 半翅目オオホシカメムシ科6-045-02
彦根城8. V. 1948
39. ツツジグンバイStephanitis pyrioides Scott, 半翅目グンバイ科6-046-04
産地は記入されていない。
40. ナシグンバイStephanitis nashi Esaki & Takeya, 半翅目グンバイ科6-046-05
産地は記入されていない。
41. キクグンバイGaleatus spinifrons Fallen, 半翅目グンバイ科6-046-08
産地は記入されていない。
42. ゴミアシナガサシガメMyiophanes tipulina Reuter, 半翅目サシガメ科6-046-18
産地は記入されていない。
43. アカシマサシガメHaematoloecha nigrorufa Stal, 半翅目サシガメ科6-047-10 彦根城16. X. 1948
44. シマサシガメSphedanolestes impressicollis Stal, 半翅目サシガメ科6-047-18
産地は記入されていない。
45. アカホシメクラガメCreontiades bipunctatus Poppius, 半翅目メクラカメムシ科
産地は記入されていない。
46. オオクロトビメクラガメHalticus micantulus Horvath, 半翅目メクラカメムシ科6-049-21
2)寺村周太郎(1955)滋賀県の天牛、観察Vol. 5, No. 1, 4-15.から次の93種を宮田目録に追加する。
1. ムネマルクロカミリ(クロカミキリ)Spondylis buprestoides Linne
各地に普通。
2. ウスバカミキリMegopis sinica White
各地に産するが多くない。ポプラ、ヤマナラシ等で得られ、灯火にも飛来する。
3. モモグロハナカミキリToxotus minutus reini Heyden
山地性で花の上よりも路傍の葉上に静止すことが多い。
4. フタコブルリハナカミキリStenocorus caeruleipennis Bates
男鬼でノリウツギの花上で1頭得ただけ。
5. ヒナルリカミキリAcmaeops minuta (Gebler, 1832)
彦根東部山地。花上で得られる。
6. キバネニセハムシハナカミキリLemula decipiens Bates
彦根東部山地。花上で得られる。
7. ピックニセハムシハナカミキリLemula rufithorax Pic
男鬼の花上で1頭得た。
8. チャイロヒメハナカミキリPidonia debilis (Kraaz, 1879)
彦根東部山地の花上に普通。
9. ナガバヒメハナカミキリ(=ナガバヒメハナカミキリ)Pidonia signifera Bates
彦根東部山地の花上で得られるが少ない。
10. フタオビノミハナカミキリ(=フタオビチビハナカミキリ)Omphalodera puziloi Solsky
彦根東部山地の花上に多い。
11. ツヤケシハナカミキリLeptura scotodes Bates
山地の花上に少なくない。
12. ツマグロハナカミキリSarcuata tenuicornis (Motschulsky)
各地の花上に多い。
13. タテジマハナカミキリStrangalmorpha shikokensis (Matsushita)
寺村(1955)には霊仙落合の花上で得られるが希とある。
14. ハコネオナガホソハナカミキリStrangalina contracta hakonensis (Matsushita)
山地の花上で得られるが少ないとある。
15. カエデヒゲナガコバネカミキリMolochus ishiharai Ohbayashi
山地に産するが希。枯れ木上をアリのように這い走っているのを見ることがあるとある。
16. カッコウメダカカミキリ(アリモドキカミキリ)Stenhomalus cleroides Bates
彦根附近に産するが希。イヌザンショウの花上で得られる。
17. ヨツボシカミキリStenygrinum quadrinotatum Bates
平地に普通。クリの花上に多く、灯火にも飛来するとある。
18. アメイロカミキリStenodryas clavigera Bates
仏生寺のウラジロアカメガシワの花上で1頭得たのみ。
19. クロアシトビイロカミキリ(=トビイロカミキリ)Allotraeus sphoerioninus Bates
彦根東部の山地の花上で希に見られるとある。
20. マルクビヒラタカミキリAsemum amurense Kraatz
仏生寺の薪上で1頭採集。灯火に飛来することもある。
21. アオスジカミキリXystrocera globosa (Olivier)
鳥居本のネムの木で1頭採集し、灯火にも飛来したことがある。
22. ミヤマカミキリ(=ヤマカミキリ)Mallambyx raddei (Blessig)
各地に普通で、クリを害し、灯火にも来る。
23. キマダラヤマカミキリPseudaeolesthes chrysothrix (Bates)
カシワを害し、灯火にも来るが少ない。
24. クスベニカミキリPyretes haematicus Pascoe
彦根東部山地の花の上または葉上で得られるが希である。クスノキ、タブノキなど害する。
25. オオアオカミキリChloridolum thaliodes Bates
膳所、ドロノキ、ヤナギなどを害するが希。
26. スギカミキリSrmanotus japonicas (Lacordaire)
膳所、鳥居本、スギを加害する。菜の花などに止まっていることがあるが、個体数はまれであるとある。
27. ヒメスギカミキリCallidtum rufipenne Motschulsky
至る所に甚だ多く、スギを加害する。
28. アカネカミキリPhymatodes maaki (Kratz)
ブドウ、ノブドウを加害する。鳥居本(自宅)の草の葉止まっていた1頭採集しただけ。
29. トラカミキリ(=トラフカミキリ)Xylotrechus chinensis (Chevrolat)
有名なクワの害虫で、各地に普通。
30. ニイジマトラカミキリXylotrechus emaciatus Bates
霊仙落合の薪上で得られるが希で、灯火にも飛来する。
31. ブドウトラカミキリXylotrechus pyrrhoderus Bates
膳所付近のカキの葉上で1頭採集。ブドウ、エビヅルを害する。
32. キンケトラカミキリClytus auripilis Bates
彦根東部に少なくない。時には薪に群がっていることがある。
33. シラケトラカミキリClytus melaenus Bates
彦根中部の薪上に普通。
34. キスジトラカミキリCyrltoclytus caproides (Bate)
各地に普通。薪上などに普通。
35. エグリトラカミキリ(=コクロトラカミキリ)Chlorophorus annlaris (Fabricus)
花上および薪の上など至る所に極めて多い。
36. アヤモントラカミキリ(=キイロトラカミキリChlorophorus notabilis (Pascoe)
各地に多く、伊吹山の薪に群がっているかと思うと、膳所や長浜など市街の電柱や駅の構内でも得られる。
37. ヒメホソトラカミキリ(=ヒメクロトラカミキリ)Rhaphuma diminuta (Bates)
彦根東部山地の花上や薪上に多い。
38. トゲヒゲトラカミキリDemonax transilis Bates
彦根東部の花上や薪上に多い。
39. トガリバアカネトラカミキリ(=トビイロトラカミキリ)Anaglyptus niponensis Bates
比叡山、鳥居本の花上で得られるが少ない。
40. シロヘリトラカミキリAglaophis colobotheoides Bates
彦根東部の花上で得られるが少ない。スギを害する。
41. ヘリグロベニカミキリPurpuricenus spectabilis Motschulsky
彦根東部の薪上に多い。
42. コブヤハズカミキリEchthistatus binodosus Waterhouse
霊仙落合、男鬼などで地上を這いあるいはタラノキの幹部に静止していることがあるが、個体数は少ない。
43. キボシヒゲナガカミキリ(=キボシカミキリ)Psacothea hilaris (Pascoe)
彦根と長浜付近では多く、クワ、イチジク、コウゾを害する。
44. ヒメヒゲナガカミキリMonochamus subfasciatus (Bates)
湖東以北に多く、薪上で得られる。
45. マツノマダラカミキリ(=マツノトビイロカミキリ)Monochamus tesserula (White)
鳥居本のマツの伐採木で1頭得ただけである。
46. ヒメビロウドカミキリDihammus degener (Bates)
伊吹山麓の草の葉上で1頭得ただけである。
47. ニセビロウドカミキリDihammus sejunctus (Bates)
霊仙落合の薪上で1頭を得ただけである。
48. シロオビゴマフカミキリ(=ナカジロゴマフカミキリ)Falsomesosella gracilior Bates
彦根東部の薪上に普通。
49. カタジロゴマフカミキリMesosa hirsta Bates
鳥居本の自宅でクリ、クヌギを加害し、灯火に飛来することもある。
50. ナガゴマフカミキリMesosa longipennis Bates
彦根東部山地に産するが少ない。クヌギ等を害し、灯火にも飛来する。
51. ウスアオゴマフカミキリMesosa senilis Bates
彦根東部山地の薪上に普通。
52. チャボヒゲナガカミキリXemcotela fu scuta Bates
彦根東部や甲津原の薪上で得られるが少ない。
53. ハイイロヤハズカミキリNiohona furcate (Bates)
鳥居本、膳所。個体数は少ない。マダケやヤダケ等を害し、灯火にも来る。
54. ナカジロサビカミキリPterolophia jugosa (Bates)
各地に普通で薪上で見られる。
55. シロオビサビカミキリPterolophia leiopodina (Bates)
鳥居本東方山地の薪上で得られるが少ない。
56. ヒメナガサビカミキリPterolophia subanbusta Matsushita
各地の薪に多い。
57. オジロサビカミキリPterolophia zonata (Bates)
彦根東部に甚だ多く、薪上で見られる。
58. クワサビカミキリMesosella siniola Bates
彦根東部の薪上で見られるが少ない。
59. ヒシカミキリMicrolera ptinoides Bates
彦根東部山地に普通。
60. キクスイモドキカミキリAsaperda rufipes Bates
膳所、鳥居本付近、賊ヶ岳に普通。ハンノキ、カキ等の葉上で得られる。
61. ツマキキレバネツツチビカミキリAtimura japonica Bates
仏生寺の薪で1頭得ただけ。ウルシを加害する。
62. アヤモンチビカミキリSybra ordinate Bates
仏生寺の薪で2頭得ただけ。
63. ヒトオビアラゲカミキリRhopaloscelis unifasciatus Blessig
彦根東部山地の薪上で1頭得ただけ。
64. ヨツモンヒダトリサビカミキリSydonia divaricate Bates
男鬼の薪上で1頭得ただけ。
65. ハイイロドイカミキリDoius griseus Matsushita
彦根東部山地の薪や枯れ枝上で得られるが少ない。
66. ネジロカミキリPogonocherus seminiverus Bates
彦根東部山地のタラノキ等の枯れ枝で得られるが少ない。
67. フタモンイトヒゲカミキリ(=フタモンドウボソヒゲナガカミキリ)Smermus bimaculata Bates
多賀町の桃原で葉上の1頭を得ただけ。
68. ドウボゾカミキリPseudocalamobius japonica (Bates)
仏生寺のネムノキの伐木で1頭得たのみ。
69. フタモンニイジマカミキリNiijimaia bifasciana Matsushita
霊仙落合の薪上で1頭得ただけ。
70. トゲバカミキリEryssamena saperdina Bates
仏生寺、男鬼に産するが希。
71. アトモンマルケシカミキリExocentrus lineata Bate
多賀町水谷の薪上で1頭得ただけ。
72. キッコウモンケシカミキリExocentrus testudineus Matsushita
彦根東部山地の薪上に普通。
73. ケシカミキリExocentrus tonsus Bates
仏生寺の薪上で1頭得ただけ。
74. ムネモンヤツボシカミキリ(=ミノオムツボシカミキリ)Saperda tetrastigma Bates
男鬼の葉上で1頭、甲津原のゴトウヅルの枯れ蔓で1頭採集。
75. ヤツメカミキリEutetrapha oceloto (Bates)
彦根城山、鳥居本(自宅)で各1頭ずつ得たのみ。
76. アサヒカミキリ(=キモンカミキリ)
霊仙落合、仏生寺の薪上で得た。
77. ハンノカミキリ(=ハンノキカミキリ)Cagosima sangainolenta Thomson
膳所と鳥居本のハンノキで得られるが希。
78. シラホシカミキリGlenea relicta Pascoe
山地で路傍の葉上でられ少なくはない。
79. リンゴカミキリOberea japonica (Thunberg)
各地に多く路傍を飛翔し葉裏に止まる。
80. ヒメリンゴカミキリOberea hebescens Bates
彦根東部山地、伊吹山。
81. ホソキリンゴカミキリOberea vittata Blessig
彦根東部山地、膳所。
82. コウノキクスイカミキリStenostola konoi Kano
霊仙落合の薪上で1頭得ただけ。
83. ルリカミキリChreonoma fortune japonica Gahan
膳所、野洲郡中里、多賀町芹谷彦根市武奈、男鬼、長浜で採集。
84. 布藤 美之(1955)オダヒゲナガコバネカミキリ、観察Vol. 5, No. 1, 16.
オダヒゲナガコバネカミキリMolorchus (Linomius) gracilisHayashi
1948年6月10日比叡山で布藤美之数頭採集
森石 雄(1955)滋賀県産天牛の二三に就いて、観察Vol. 5, No. 2,5.で次の○種が追加された。
85. ムナコブハナカミキリXenophyrama purpureum Bates
1949年7月下旬比良山望武小屋で夕方飛翔中の個体採集
86. ヒゲジロハナカミキリAnoplodera dentatipennis Pic
1950年7月下旬比良山八雲原付近の花上
87. ニンフハナカミキリStrangalia nymphula Bates
88. ニョウホウハナカミキリStrangalia lesnei Pic
以上2種は7月中旬比良山中腹の栗の花上に多い。
89. コウヤホソハナカミキリStrangalia koyaensis Matsushita
1950年7月下旬比良山八雲原付近の花上
90. ハネビロハナカミキリLeptura latipennis Matsushita
1949年7月中旬比良山望武小屋付近の栗の花上
91. シロトラカミキリParaclytus excultus Bates
5月鈴鹿山系政所付近の薪上に多い。
92. Parechthistatus gribber Batesツチイロコブヤズカミキリ(=マタサンコブヤハズカミキリ)
1950年8月鈴鹿山系杉峠付近古木上
93. セダカコブヤハズカミキリParechthistatus grossus Bates
1949年7月比良山八雲原の朽木
3)以下に蝶など他の文献を示す。
宮田 彬(1955)彦根城のトゲナナフシ、観察Vol. 5, No. 1, 16-17.
彦根城梅林でモズのハヤニエを調べた。次の昆虫がハヤニエになっていた。オンブバッタ、アオクサカメ、トゲナナフシ、カマキリ(多分オオカマキリ)、オオフタオビドロバチ、エンマコオロギ、マダラカマドウマ、ウマオイ
布藤 美之(1955)伊吹山からエルタテハが、観察Vol. 5, No. 1, 20.
エルタテハ、伊吹山一合目、1954年8月20日、採集者中尾正宏
井上喜代司(1955)ミヤマカラスシジミ滋賀県で採集、観察Vol. 5, No. 2, 20.
ミヤマカラスシジミ1955年8月6日犬上郡河内から三重県に抜ける途上の芹谷(権現谷)で採集。
森 石雄(1955)あれやこれや、観察Vol. 5, No. 2, 20-22.
八日市付近、オオミドリシジミ、ウラジロミドリシジミ、キマダラツバメ沢山発生。甲津畑⇒ヒサマツミドリシジミ。綿向谷⇒エゾミドリシジミ。湯の山⇒キリシマミドリシジミ。
中川原 金一(1955)蝶三題、観察Vol. 5, No. 2, 22.
中之郷⇒1955年6月12日ウラキンシジミ。コノマチョウ⇒醒ヶ井1955年8月17日。シータテハ⇒伊吹山1955年9月2日
志賀むしの会(1954)滋賀県の蝶(追加)、観察Vol. 4, No. 4. 9-13.
キバネセセリ⇒伊吹山。伊香郡土倉1953年7月6日1♂。コキマダラセセリ⇒伊吹山と伊香郡八草峠1♀1953年7月28日日比裕泰。ムラサキツバメ。ウラキンシジミ⇒伊吹山、東浅井郡新穂峠。ミズイロオナガシジミ⇒1952年7月27日新穂峠。ウラクロシジミ七尾峠や土倉。エゾミドリシジミ⇒伊吹山系新穂峠など。ジョウザンミドリシジミ⇒新穂峠。ウラジロミドリシジミ愛知川流域と愛知郡宇曾川流域。フジミドリシジミ⇒鈴鹿山系雨乞山、綿向山など。メスアカミドリシジミ⇒比良山系と新穂峠。ヒサマツミドリシジミ⇒鈴鹿山系。シルビアシジミ⇒坂田郡番場。ミスジチョウ⇒甲津畑、新穂峠。オオミスジ⇒伊吹山、甲津原。クジャクチョウ⇒伊吹山1952年9月24日八合目 で日比君。ウラナミジャノメ⇒比良山麓、甲賀、八日市南部など 。クロヒカゲモドキ⇒大津市石山岩間寺1♀1952年8月16日布藤。オオヒカゲ⇒甲賀郡水口1909年の記録アリ。コノマチョウ
布藤 美之(1955)滋賀県のムラサキツバメ、観察Vol. 5, No. 2, 20.
大津近郊で19 54年初記録。同所で発生するらしい。マテバシイ。
布藤 美之・森 石雄(1955)皆んなでトンボを集めよう 滋賀県のトンボ中間報告、観察No. V, No. 2, 10-13.
これには65種のトンボが列挙されているが、おかしなことに採集者の氏名がわかるだけで、採れた場所や採集年月日はまったく記載されていない。つまり、著者たちの最大の関心事は滋賀県にトンボが何種産するかであって、一つ一つの種の産地やどんな環境にどんな種が見られるかまったく考えようとしていない。少年時代、私がこの同好会誌に何となく違和感を持ったのは、集めた種数の多さや珍しい種の採集個体数を競争し、研究する姿勢が見られなかったことだ。滋賀県にトンボの種類が多いのは琵琶湖周辺に様々のトンボが発生しやすい環境があるからだ。昨年ついに滋賀県で100種目のトンボが発見され、それを祝って琵琶湖博物館でも小展示があった。それを見て布藤・森両氏が書いたこの文献を思い出した。私が初めて昆虫の記事を書いたのは布藤さんが書きなさいと勧めてくれたのがきっかけだ。ちなみに私は66番目に記録されたオオキトンボの採集者である。
4)滋賀県の蛾の文献を挙げると1950年代から60年代初期に次のような記事が観察にでている。
宮田 彬(1956)昨年の彦根地方のドクガについて、観察Vol. 6, No. 1, 8-9.
1955年6月下旬から7月下旬にかけて中部地方を中心に関西、関東、東北地方にかけてドクガの大発生があり新聞紙面を賑わした。彦根でもドクガによると思われる被害が報じられ、彦根市衛生課はドクガが発見されたとして7月13日緊急注意を出した。そこまでは良かったのだが、「彦根市内で発生したとは考えられず、中部地方のドクガ発生地から飛来した」と断定してしまった。当時の新聞記事の多くは、ドクガが発見されるたびに「どこか別の発生地」から飛来した、つまりまるですべてのドクガは最初の発生地からやって来たかのように書かれていた。ドクガはある中心地から同心円を描くように広がったように見えたからだ。私の知る限りでは新聞報道に異論を唱えた昆虫学者は一人もいなかった。これは口コミ情報や文化の広がり方と似ている。彦根市衛生課も安易にその説を信じてしまったのだ。
そこで私は普通種であるドクガは彦根市でも毎年発生できることを書き、中部地方から飛んできたとは考えられないと指摘した。今この記事を読み直して「九重昆虫記」を貫く物の見方、考え方は子供の頃から一貫していたのかと自分でも驚いている。
江崎 幸雄(1958)湖北の蛾、観察Vol. 8. No. 1, 6-21.
滋賀県の一地域の蛾の目録はこの文献が最初である。江崎さんには会ったことがないが私と同年代の人で、186種の蛾を記録している。宮田目録に出ていない種も含まれている。1957年に保育社から原色日本蛾類図鑑上巻が出版され、続いて下巻が1958年9月に出版されたから、蛾を集めていた江崎さんも同定がしやすくなったので目録を発表したのだろう。私は1959年に進学したが、その年北隆館の原色昆虫大図鑑1鱗翅目の部が出版され、蛾の記事も観察誌上に載るようになった。保育社の図鑑は昆虫愛好家に大きな影響を与えたと思う。寺村周太郎さんのカミキリムシ目録も中根猛彦博士らの保育社版原色甲虫図鑑が影響している。
森 石雄(1961)愛知川流域(八日市市・湖東町・愛知川町)で得た主な蛾(6~7月)、観察Vol. 9, No.2, 31.
次の蛾が記録された。コシロシタバ、シロシタバ、オニベニシタバ、ベニシタバ、キシタバ、ジョナスキシタバ、コガタノキシタバ、マメキシタバ、アミメキシタバ、フシキシタバ、カバフキシタバ、ウスイロキシタバ、オオシマカラスヨトウ、ミドリリンガ、クロスズメ
森 石雄(1961)堂尾発電所(永源寺町)で得たスズメガ、観察Vol. 9. No. 2. 15.
次の蛾が記録された。メンガタスズメ、エビガラスズメ、シモフロスズメ、サザナミスズメ、ホソバスズメ、モンホソバスズメ、トビイロスズメ、クチバスズメ、モモスズメ、ヒメクチバスズメ、ウチスズメ、ウンモンスズメ、エゾスズメ、クルマスズメ、セスジスズメ、コスズメ、キイロスズメ、ベニスズメ
森 石雄(1962)再び愛知川流域のCatocala、観察Vol. 10. No. 2-3. 17-18.
次の蛾が出ている。ワモンキシタバ、フシキシタバ、ウスイロキシタバ
森 石雄(1962)堂(?菅)尾発電所で新たに得たスズメガ、観察Vol.10. No. 2-3. 19.
フトオビホ19/ソバスズメ
森 石雄(1962)オオダイセマダラコガネ茨川でも採集、観察Vol. 10, No. 2-3,
岸本 学(1962)愛知川本流に見られるふゆう目、観察Vol. 10, No. 1, 5.
水生昆虫を研究する岸本が以下のカゲロウを記録した。
マダラカゲロウ科:クロマダラカゲロウ、モトトゲマダラカゲロウ、ミツノトゲマダラカゲロウ、アカマダラカゲロウ
ヒラタカゲロウ科:エルモンヒラタカゲロウ、ユミモンヒラタカゲロウ、ヒメヒラタ
モンカゲロウ科:モンカゲロウ、スカシバカゲロウ
岸本 学(1962)愛知川本流に見られる毛翅目、観察Vol. 10, No. 2-3, 14-16.
次のトビケラを記録した。
ナガレトビケラ科:ムナグロナガレトビケラ、ヤマトトビケラ
カワトビケラ科:ヒゲナガカワトビケラ
クダトビケラ科:Psychomyia sp. クダトビケラ